戦略的機能イノベーション研究所
研究所概要About
背景および全体構想
現在、国内の製造業、サービス産業などにおいて、つくり手側の多くの企業が方向性を見失いつつあり、国際競争の中で継続的に発展していくことに不安感を持つ傾向が出てきたことは否定しきれない。しかし、そのための国内企業の活動を中心とする学術的知見の構築に関する議論は薄めであったといわざるを得ない。
本研究所の方向性としては、このような状況の中で有効性があると考えられる、学術的知見に基づく議論を進め、その蓄積に努めていくものである。これらから得ることができる知見は、以下のメリットがあると考えられる。
- これまで薄めであった国内社会メカニズム・国内商流慣行を基本とした理論構築
- 方向性を見失いつつある国内産業・国内企業に対する具体的方向性の検討
- 国際的に見た日本の産業の特性の理解
このような方向性に基づき、『戦略的機能イノベーション研究所』は、2017年12月 に、産業技術大学院大学内に設立されたものである。
目的
本研究所の具体的な目的は、以下のような視点に基づく学術的知見に基づく議論を進め、そこから得られる知見を集約していくことである。
- 産業別・製品分野別の生産物特性および生産プロセス特性
- 国内の企業のつくり手としての強みや弱み
- 製品による価値創造および価値獲得
- サービスによる価値創造および価値獲得
- ソリューションによる価値創造および価値獲得
これらにより、国内の特定の産業に関する理解だけでなく、国際間比較、産業間比較による、より広い対象に対して視点を絞った議論を整理していくことを目指すものである。
これらの議論の整理によって、これまで明確にできなかった、人間がモノを創造する流れの全容を明示していくことができる可能性を向上させると考えている。
特に、本研究所の独自性として、これらの議論に必要不可欠と考えられる、理論面と感性面の両面から考えていくことを試みる。つまり、論理的・客観的な価値創造に関する議論に加え、一般化が可能となるような再現性が含まれる感性的・主観的な価値創造の議論も積極的に進めていく。これにより、人間が行っている行為や思考としての創造活動を、ありのままの形で理解していく可能性を向上させるものと考えている。
研究対象キーワード
- Emerged Function(発生機能)
- 設計情報分析
- 人工物特性の把握
- 設計思想特性の把握
- 感覚的価値の再現可能性
設立時構成員;16名
- 産業技術大学院大学(教授3・助教1・リサーチフェロー4)
- 国内他大学(東京大学、京都大学、立命館大学; 教授2・客員教授1・助教1)
- 海外他大学(Cambridge大学、香港市立大学; 教授クラス3・准教授クラス1)
研究成果関連Research
2019年以降の活動報告の内容は、科学研究費(17H02562)の成果の内容となっております。
研究成果
製品の機能創出に関する基礎的考察 -つくり手による機能設計と使い手の使用によって発生する「発生機能」の相違-
- 著者名
- 吉田 敏
- 巻号
- 14巻、2号
- ページ
- 325-333
- 年月次
- 2015-04
- 掲載誌
- 日本感性工学会論文誌
- リンク
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjske/14/2/14_325/_article/-char/ja
使い手視点による建築の価値創造に関する一考察
- 著者名
- 吉田 敏 / 奥村 建 / 平社 和也 / 鈴木 宏幸
- 巻号
- 88
- ページ
- 431-434
- 年月次
- 2018-03
- 掲載誌
- 日本建築学会関東支部研究報告集
建築生産プロセスに影響を与える要因に関する記述の可能性
- 著者名
- 吉田 敏 / 佐藤 久代
- 巻号
- 88
- ページ
- 435-438
- 年月次
- 2018-03
- 掲載誌
- 日本建築学会関東支部研究報告集
建築の機能による発注に関する一考察
- 著者名
- 吉田 敏
- 巻号
- 88
- ページ
- 439-442
- 年月次
- 2018-03
- 掲載誌
- 日本建築学会関東支部研究報告集
創造プロセスからみる建築特性の記述手法の開発 -つくり手視点と使い手視点からの建築生産の俯瞰による各建築の創る方向性の峻別-
- 著者名
- 吉田 敏 / 石田 修一 / 金多 隆
- 巻号
- 84巻、756号
- ページ
- 447-455
- 年月次
- 2019
- 掲載誌
- 日本建築学会計画系論文集
- リンク
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/84/756/84_447/_article/-char/ja
建築設計分業における技術的知識の所在の記述による一考察
- 著者名
- 吉田 敏 / 古阪 秀三 / 石田 修一 / 金多 隆
- 巻号
- 54巻、3号
- ページ
- 189-198
- 年月次
- 2019
- 掲載誌
- 設計工学
- リンク
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsde/54/3/54_2017.2783/_article/-char/ja
建築に対する要求特性の把握に関する一考察―テレワークの傾向と業務構成要素相互依存性―
- 著者名
- 吉田 敏
- 巻号
- 第14号
- ページ
- 77-82
- 年月次
- 2020
- 掲載誌
- 東京都立産業技術大学院大学 紀要
- リンク
- https://aiit.ac.jp/documents/jp/research_collab/research/bulletin/2021_bulletin.pdf
建築に対するユーザーの活動の設計思想から見た要求の把握手法の開発 ―COVID-19 の影響に拠るテレワークの傾向と業務構成要素相互依存性についての考察―
- 著者名
- 吉田 敏 / 藤田 大樹
- 巻号
- 86巻、785号
- ページ
- 325-333
- 年月次
- 2021-07
- 掲載誌
- 日本建築学会計画系論文集
- リンク
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/aija/86/785/86_1960/_article/-char/ja/
機能から見た建築に求められる内容に関する一考察(設計機能と発生機能の差異の抽出に関する試考)
- 著者名
- 吉田 敏
- 論文ID
- 2021.2944
- 年月次
- 2022-01
- 掲載誌
- 設計工学
- リンク
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsde/advpub/0/advpub_2021.2944/_article/-char/ja/
連絡先Contact
戦略的機能イノベーション研究所 所長:吉田 敏(yoshida-satoshi@aiit.ac.jp)
公立大学法人首都大学東京 産業技術大学院大学
〒140-0011
東京都品川区東大井一丁目10番40号